アービトラージは本来、市場の価格差を利用して小さな利益を積み重ねる投資手法です。しかし近年、この専門的な言葉を悪用した「自動売買システム詐欺」が急増しています。
「月利20%」「完全自動で稼げる」「元本保証」などの甘い誘いは、心が疲れているときほど魅力的に感じられるものです。ですが、多くは仕組みが不透明で、実態は投資ではなく“資金を集めるだけ”の危険なスキームです。
この記事では、
- アービトラージを名乗る詐欺が使う典型的な手口
- 被害に気づいたときに取るべき対応
- 相談できる公的機関・専門家
をわかりやすく解説します。専門用語もやさしい表現で説明するので、安心して読み進めてください。
目次
- 1章:アービトラージを装う自動売買システム詐欺とは
- 2章:勧誘で使われる典型的な3つの手口
- 3章:被害に気づいたときに今すぐ取るべき行動
- 4章:相談すべき公的機関・専門家
- 5章:同じ被害を防ぐためのチェックリスト
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
- 最後の一言
1章:アービトラージを装う自動売買システム詐欺とは
結論から言うと、「月利20%保証」などを掲げるアービトラージ系システムは、ほぼ詐欺の可能性が高いです。
アービトラージは市場間の価格差を瞬間的に利用するため、利益は一般的に“数%/年”程度が現実的です。大きな利益が継続することはほぼありません。
詐欺的な業者は、この難しい仕組みを「プロのアルゴリズムが自動で儲ける」と説明します。そして投資家の資金を集めるだけで、実際には運用していないケースが多く、出金が突然止まるのが典型的です。
システム画面上では“利益が増えているように見せる”こともあり、被害者は気づくのが遅れやすいのが特徴です。
2章:勧誘で使われる典型的な3つの手口
①「月利20%」「元本保証」と甘い言葉で誘惑する
金融庁は過去から一貫して「高利回りを保証する投資話には注意」と呼びかけています。
プロの投資家でも月利20%を安定して達成することは極めて困難で、保証できる仕組みは存在しません。保証をうたう時点で、危険性が高いと考えてください。
② 有名人や大企業をかたる宣伝手法
実在する投資家や上場企業のロゴを無断で使い、信頼性を装うケースがあります。
多くは偽造された資料や加工された動画です。「有名人が紹介していたから安心」と思うのは危険です。
③ SNS・マッチングアプリからの“距離感の近い”誘導
LINEやマッチングアプリで仲良くなった相手が、「実は稼いでいる方法がある」と教えてくる手口です。
いわゆる“ロマンス投資詐欺”とも重なり、感情に訴えて投資へ誘導します。連絡が急に途絶えたり、出金を理由に追加入金を求められることが多いです。
3章:被害に気づいたときに今すぐ取るべき行動
被害に気づいたら、まずは焦らず冷静に状況を整理することが大切です。
- 出金操作を試し、記録を残す
出金ができない場合は画面をスクリーンショットで保存しておきます。証拠として有用です。 - 相手とのやり取りを削除しない
LINE・メール・入金履歴など、すべて保存してください。後の返金交渉で重要になります。 - 追加入金・指示には絶対に応じない
「手続き料」「出金解除料」は典型的な二次被害です。 - 公的機関に相談する
警察、消費生活センター、金融庁の窓口など、まずは無料の相談窓口を利用できます。
あなたが悪いわけではありません。巧妙な仕組みを見破るのは、専門家でも難しいことがあります。
4章:相談すべき公的機関・専門家
被害が疑われる場合は、以下の支援先が役立ちます。
- 消費生活センター(188)
投資関連のトラブル全般を相談できます。対応方法を一緒に整理してくれます。 - 警察(#9110)
詐欺の可能性が高いときは早めの相談が重要です。 - 金融ADR(金融機関との紛争解決)
金融機関が関わる場合に利用できる仕組みです。 - 弁護士・司法書士
証拠を整理し、返金交渉や法的手続きの助言を受けられます。
無料相談を行っている専門家も多く、「まずは話すだけ」でも構いません。
5章:同じ被害を防ぐためのチェックリスト
次のようなポイントに当てはまる場合は、詐欺の可能性が高いです。
- 「月利◯%保証」「元本保証」と言ってくる
- 運用方法を詳しく説明してくれない
- 運営会社の住所・代表者が不明
- 出金を渋る、追加入金を求める
- SNSや個人からの紹介のみで広がっている
- 契約書やリスク説明が曖昧
1つでも当てはまる場合は、慎重な対応が必要です。
まとめ
- アービトラージを装った自動売買システムは詐欺的なものが多く、「月利20%保証」は非現実的。
- 手口は「甘い利回り」「有名人のなりすまし」「SNSでの個別誘導」が中心。
- 被害に気づいたら証拠を保存し、追加入金を止め、公的機関へ相談する。
- 再発防止には、仕組みの不透明さや出金トラブルを早めにチェックすることが重要。
よくある質問(FAQ)
Q1:アービトラージで月利20%は本当に不可能なのですか?
はい。一般的なアービトラージの利益はごく小さく、安定して高利回りを出せる仕組みは存在しません。月利20%を「保証」する話は詐欺の可能性が高いです。
Q2:自動売買システムが本物かどうか見分ける方法はありますか?
運用ロジックを詳しく説明しない、契約書が曖昧、出金に時間がかかる場合は要注意です。金融庁の登録業者かどうかを確認することも重要です。
Q3:出金拒否が起きています。返金は可能ですか?
ケースによりますが、証拠が揃っていれば返金の可能性はあります。スクショや入金履歴を保存し、早めに専門家へ相談することが大切です。
Q4:SNSで仲良くなった人から勧められました。これも詐欺ですか?
恋愛感情を利用した“ロマンス投資詐欺”の可能性があります。相手が「秘密の投資」「特別に教える」と言う場合は特に注意してください。
Q5:相談先に迷っています。どこに電話すればいいですか?
迷ったらまずは「消費生活センター(188)」が便利です。状況に応じて警察や専門家へのつなぎも案内してくれます。
最後の一言
不安を抱えたまま一人で悩む必要はありません。どんな状況でも、必ず支えてくれる相談先があります。気づいた今のタイミングで、できるところから一歩ずつ進めていきましょう。





