詐欺被害でお金を失った直後は、不安や焦りから「何とか取り戻したい」と思うのは当然です。そんな心の隙を狙うように、SNSでは「全額取り戻します」「返金率100%」といった甘い言葉で勧誘する探偵・便利屋が急増しています。
しかし、金融庁や消費者庁でも注意喚起されているように、こうした業者の多くは新たな詐欺の一種です。ここでは、その手口と危険性、そして被害に遭ったときに取るべき安全な手順をわかりやすく解説します。
この記事では、
- SNSで横行する「返金請負詐欺」の典型的な手口
- 被害に気づいたときに安全に取れる行動
- 正しい相談先と、追加被害を防ぐポイント
をまとめています。
目次
- 1章:SNSで急増する「詐欺被害全額取り戻し」系の危険な手口
- 2章:なぜ探偵・便利屋が返金を謳うのか(違法性と背景)
- 3章:被害に気づいたときに、まず取るべき行動
- 4章:安全に相談できる公的機関・専門家
- 5章:同じ被害に遭わないためのチェックリスト
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
- 最後の一言
1章:SNSで急増する「詐欺被害全額取り戻し」系の危険な手口
結論として、「詐欺被害を全額取り戻す」と宣伝する探偵・便利屋は、ほぼすべて詐欺か違法業者です。
SNS型返金詐欺は、被害者の焦りに付け込み、以下のような流れでお金を奪おうとします。
典型的な手口
- 「返金率100%」「特別ルートがある」と虚偽の実績を提示
実際には返金能力も交渉権限もありません。 - 先払いで高額の調査費・着手金を要求
支払った瞬間に連絡が途絶えるケースが多いです。 - 警察や金融庁の関係者を名乗る
本物の公的機関がSNSで個別連絡することはありません。 - 送金先の口座名義が個人名や国外名義
典型的な詐欺の特徴です。
「あなたが悪いのではありません」。巧妙に心理に入り込むよう設計された手口のため、誰でも被害に遭う可能性があります。
2章:なぜ探偵・便利屋が返金を謳うのか(違法性と背景)
結論として、探偵や便利屋が「返金代行」を行うことは、日本の法律では認められていません。
違法になる理由
- お金の返還交渉は『弁護士法違反』になる可能性が高い
お金の取り戻し交渉は法律上、弁護士にしか認められていません。 - 「特殊な調査ルート」は存在しない
金融庁・警察庁ともに、民間業者に詐欺犯の口座凍結や返金手続を依頼する制度はありません。 - 被害者が連鎖的に狙われやすい
一度詐欺に遭った人は「名簿」として出回りやすく、再び標的になります。
よくあるシチュエーション
「SNSで相談したらすぐ返信が来た」「無料で話を聞いてくれると言われた」
— こうした入り口は典型的です。最初は優しい口調で安心させ、後から高額請求に切り替えるのが特徴です。
3章:被害に気づいたときに、まず取るべき行動
結論として、「お金を追加で払わない・連絡を止める・公的機関に相談」が最優先です。
今すぐできる行動
- 業者とのやり取りを中断する
追加の送金依頼には絶対に応じないでください。 - 証拠を保存する
SNSのメッセージ、振込記録、画面キャプチャなどは後の相談に必要です。 - 口座やカードを確認する
不審な引き落としがないかチェックし、必要なら金融機関に連絡します。 - 警察・消費生活センターへ相談する
早めに動くことで、追加被害の防止につながります。
注意点
- 「返金を急がないと間に合わない」というメッセージは詐欺の常套句です。
- 焦りは自然な感情なので、自分を責める必要はありません。
4章:安全に相談できる公的機関・専門家
結論として、返金を含むトラブル相談は公的窓口か法律の専門家が最も安全です。
公的機関
- 消費者ホットライン(188)
最寄りの消費生活センターにつながります。 - 警察相談専用電話(#9110)
詐欺全般に関する相談ができます。 - 金融庁の相談窓口
投資トラブルに関する一般的な情報提供があります。
法律専門家
- 弁護士
お金の返還交渉ができる唯一の専門家です。 - 司法書士(簡裁代理権を有する場合)
一定額以下の民事トラブルについて対応できます。
専門家に相談したからといって、必ず返金が実現するわけではありません。
しかし、安全な手続きの中で、可能性のある選択肢を整理できます。
5章:同じ被害に遭わないためのチェックリスト
結論として、「甘い言葉を疑う」「実在性を確認する」だけで被害は大きく減らせます。
チェックポイント
- 「必ず取り戻す」「100%」など極端な表現を使っていないか
- 実績を第三者が確認できる形で提示しているか
- 料金体系が明確で、先払いを強要しないか
- 連絡手段がSNSのみになっていないか
- 事業者の所在地・電話番号・法人名が確認できるか
SNSでは簡単に嘘の実績画像や偽証明書を作れるため、見た目だけで判断しないことが重要です。
まとめ
- 「詐欺被害を全額取り戻します」とうたうSNS業者は、ほぼ確実に詐欺か違法行為です。
- 探偵・便利屋には返金交渉の法的権限がありません。
- 追加の送金要求には応じず、証拠保存と公的機関への相談が最優先です。
- 安全な相談先は、消費生活センター・警察・弁護士などの公的または専門機関です。
- 甘い言葉を疑い、情報の実在性を確かめることで被害を大きく減らせます。
よくある質問(FAQ)
Q1:SNSで連絡してきた探偵が「確実に取り戻せる」と言っています。本当ですか?
確実、全額といった表現を使う時点で危険です。探偵はお金の返還交渉を行う権限がなく、ほぼ確実に詐欺か違法業者です。連絡はすぐに止めてください。
Q2:すでに着手金を支払ってしまいました。取り戻せますか?
ケースによりますが、証拠があれば警察や消費生活センターから助言が得られる可能性があります。追加で支払わず、まず公的機関に相談してください。
Q3:「警察に協力している」と名乗る業者は信用できますか?
信用できません。警察が民間業者に返金を委託することはありません。名乗っている時点で詐欺の可能性が非常に高いです。
Q4:本当に相談できる人が周りにいません。どうすればいいですか?
188(消費者ホットライン)や#9110(警察相談)なら、匿名でも相談内容を聞いてもらえます。深刻な状況でも一人で抱え込む必要はありません。
Q5:返金を急かされているのですが、どう対応すべきでしょう?
急がせるのは典型的な詐欺手口です。応じる必要はなく、連絡を止め、証拠を保存したうえで公的窓口に相談してください。
最後の一言
不安や焦りの中で判断をするのは、とても大変なことです。決して一人で抱え込まず、まずは安全な公的機関や専門家に相談して、落ち着いて対処していきましょう。







